エンジンチューンの前に

前回パワーバンドについて多少お話いたしましたが、もう少し詳しく説明しましょう。
なぜならエンジンをチューンをするポイントを絞っていくためです。
サーキット専用車ならパワーバンドも高回転寄りでピークパワーを狙っていけばいんですが、そんな車で街乗りは低回転がスカスカで乗りにくいですよね。
ましてやオールマイティな車を作るにあたってはナンセンスです
よく低速トルクがなくて・・・なんていいますがこれはどういうことでしょうか?速度が低いときのトルクがない?低回転数のトルクがない?
私がネットで調べてみると皆さんはおそらく「極低回転域(アイドリング)から低回転(3000rpm程度)までのハーフスロットルでのトルクがない」と仰っているように思います。
これはゼロ発進のときと、低回転からの再加速の二つのパターンがありますね。
パワーグラフを見るとトルクがあるように見えても、あれは全開スロットルですからね。

さてこれを解決するための方法は
1、アイドリングを3000rpmにする。
2、ゼロ発進から全開スロットルにする。
3、エンジンパワーをあげる。
4、駆動系で対処する。
程度でしょうか。
1はレーシングカーなどはアイドリングが高いですが、ストリートカーでは現実的ではないですね。
2はパワーのある車だとホイルスピンしてしまったりしますし、信号で止まるたびに全開なのは面倒くさいし疲れますね。
3は効果が高く現実的ですが次回に持ち越しで
となると残るは4ですね。再加速する場合はギアを一つ落とすや、チューニングで言えばローギヤード化する等ですかね。
それじゃたいした解決になってないよなんて突っ込まないでください。笑
これからもう一つの解決方法をお教えいたします。
それはホイールの軽量化とインチダウンです。

実際に軽量化された方は確かに効果があったと思っている人や
何故ホイールの軽量化なの?と思う方もいるかもしれません。
そこのところを詳しく説明していきましょう。
まず止まっている物や動いている物は慣性が働いています。これはご存知ですよね?
そして車を動かすにはタイヤを回すしかありません。
回転物には慣性モーメントが働きます

慣性モーメント=mr2です。
質量をm、半径をr
これはとても重要です。
慣性モーメントは、回転物の、回転の「させにくさ」を表すものです。
この値は、質量に比例し、中心軸からの距離の二乗に比例 します。(重要なので赤文字にしてみました。)
これが大きいほど、回転が止まっているものは回転させにくく、回転しているものは回転を止めにくくなります。
自動車業界では、「イナーシャ」と言う言葉も使いますが、慣性モーメントと同じ意味です。
更に、トルク=角加速度×慣性モーメント  というのも重要です。
これは、大きなトルクを掛けるほど、回転の上昇の仕方(角加速度)が速くなると言う意味です。慣性モーメントは一定ですからね。
そして式を変換すると、角加速度=トルク÷慣性モーメント になりますね。
言い方を変えれば、トルクが一定なら慣性モーメントが小さいほうが回転の上昇(加速の仕方)は速くなるということです。
わかりましたか?もっと解りやすく言うと、ホイール(タイヤ)は軽くて小さい方が加速しやすいってことです。
ホイールの場合リムが一番外側で質量があります。これを軽量化、さらにインチダウンすれば、質量に比例してさらに距離の二乗に比例しますので効果絶大です。
ただしタイヤの直径を小さくするとローギヤードになります。ローギヤードのままだと加速には有利ですが、帳尻合わせをする場合はファイナルをハイギヤード化してくださいね。

これはブレーキに関しても効果が出てきます。
上の式の言葉を無理やりですが解りやすく変換してみると、角加速度(減速)=ブレーキの効き÷慣性モーメント にすることができます。
理解していただけましたか?
ただしインチダウンには限界があります。いろいろと問題はありますが一番問題なのはブレーキなのです。
ホイールのインチダウンをすると、必然的にブレーキもインチダウンしなければいけませんよね。これが問題なのです。
今ブレーキの効きがよくなるって書いたじゃないかと思うかも知れませんが、簡単に説明すると、てこの原理やローターの表面積問題でブレーキの効きは悪くなります。
詳しくはまたの機会に説明させてもらいます。

今回の内容をまとめると、低速トルクを補うためにはブレーキを考慮した上で、ホイールを軽くて小さいものに交換するということです。


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