エンジンチューニング

車の心臓部とも言えるエンジンのチューニングに関して説明していきましょう。
エンジンパワーをあげるチューニングとは?
それは、次の4つだけです。これ以外はありません。
@ シリンダーの中に多くの空気を充填する。
A 充填した空気を効率よく圧縮する。
B 一番効率がよいポイントで燃焼させる。
C 吸入空気に応じた燃料を供給する。

BとCは、ECUの制御がメインとなります。勿論インジェクター等のパーツが最適化されていることが前提ですが。
Aは具体的には圧縮比のことなので、あまりいじれません。通常ですとショップさんのお奨めに従うことになると思います。
で、本命の@です。
ハイカムを入れる、ターボをサイズアップする、ブーストを上げる、排気量を上げる、これらは少しでも多くの空気を充填しようという行為です。
排気量UPやターボのサイズアップは確実にパワーアップになりますが、ヘッドに関しては大きく出力特性を左右します。

先ずは、吸気管長です。
長さを変える事により、出力特性は激変します。
エンジンは息のように連続的な空気の流れではありません。
バルブが開いた時に空気が吸い込まれ、閉じた時には空気が溜まります。
インマニにブースト計(バキューム計)を付けて見ると思いのほか針が振れるのが判ると思います。
この針の振れが、空気の振動になりその振動は吸気管の径と長さにより特定の振動を持つようになるのです。
これを吸気脈動(脈動効果)と言ったりします。詳しくはまた後で説明する予定です。
そして、バルブが開くタイミングと吸気脈動のタイミングが合うようにチューニングしてあげると吸入効率がよくなるわけです。 
ただし脈動効果が得られる回転数は決まっていてピンポイントでしか効果を発揮できません。
なので全域で効果が発揮できるように、一時期はF1でも可変ファンネルとして使われていました。
このチューニングは実に効果が高いので自動車メーカーでも採用するようになりました。

吸気管長が効果が大きいと知ったところで、市販車である以上はスペース上あまり自由に変更はできません。
ではどこをいじるのでしょうか?
結論を言えばいじりにくいのです。
だから、その吸気管長にあったカムを入れ、バルタイをセットすることが大事となります。
吸気管長というのはヘッド内も含みますから、バルブシートからサージタンクまでを言います。
空気は質量と粘性を持った圧縮性流体です。
高速のメカの動きについていくようにいろいろと工夫を施してやらないといけませんね。

話を戻して、エンジンに沢山の空気を吸わせるには、排気量を大きくするのが手っ取り早い方法ですが、ここでは同一排気量である事を前提にして考えると、
@回転をあげ単位時間内に吸い込む回数を増やす。
A慣性過吸、吸気脈動を利用する。
Bターボで吸入空気を圧縮する。
という3つの方法があります。普通はこれらの合わせ技にする。
 
@は回転数を2倍にすれば同じ時間に2倍の空気を吸い込み、2倍のガソリンを燃やして2倍のパワーを出せる。
これには機械的な限界と、吸い込まれる空気の流速の限界が問題になる。
空気は圧力差で流れますが、吸気流路に絞りがある場合は、その流速は音速を超えることはできない。

Aの慣性過吸についてですが、空気(混合気)にも質量がありますので、一度動き始めた空気(混合気)は慣性が発生します。
そこで、空気が流れ込もうとする勢いを使って、普通に流れ込む以上にシリンダー内へ空気を詰め込んでしまう。これを慣性過給と呼んでいます。

Bのターボはいいですね。中身はわからなくとも大気圧以上に押し込んでくれるブースト圧によって過吸が行われ、排気量以上の空気を吸える仕組みですからね。
ということで、この空気の吸入量を増やす事が肝要だという事をご理解いただけましたでしょうか?

 

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