タイヤのグリップと荷重


やはり車を語る上でタイヤはもっとも重要なパーツですね。どんなにチューニングをしてもタイヤが無ければ走ることができませんから。
サスペンションやデフ、空力パーツなども全てはタイヤの仕事をサポートしているに過ぎません。
走り好きの人でタイヤは太けりゃ食うだろとか言う人がいますが本当でしょうか?
タイヤのグリップ力は高ければ高いほうがいいと思っている人、本当にそれでいいのでしょうか?
今回はタイヤの剛性、温度、トレッドなどは考えないこととします。

では初めに、なぜタイヤメーカーはグリップ力の違うタイヤを販売するのかを考えてみてください。
理由は簡単で、車の限界の超え方は二通りあるのです。ご存知でしたか?
一つはタイヤの限界を超えて、タイヤが滑るです。これは皆さんご存知だと思います。タイヤが滑って曲がりきれないなんてこと経験した人も結構いらっしゃると思います。
もう一つは車の限界を超えてひっくり返るです。高速道路のICやJCTのカーブでひっくり返っている軽自動車やワゴン車を見たことが無いでしょうか?
タイヤのグリップ力よりも車のほうが先に限界を超えると起こることがあります。
このようにタイヤ選択を間違うと事故につながる可能性があるので、愛車にあったタイヤを選んでください。
簡単にいうと「タイヤが滑らずに車がひっくり返らない」が安全で尚且つ早く曲がれるということです。

次にタイヤを太くすると食うようになるのでしょうか?確かに太いとグリップしそうですね。
では実際に計算して見ましょう。
タイヤのグリップ力(摩擦力)は F=μmg [N] で計算することができます。
mは荷重、gは重力です。車重と重力は変えることはできないので、Fが大きくなるということはμが大きくなっているはずですね。しかし、μは定数で変わりません。
あれ?困りましたねぇ。摩擦力にタイヤの太さは関係ありませんねぇ。

しかし実際にはタイヤを太くすると摩擦力が上がります。タイムアップにも直結します。
では何故太いタイヤのほうがグリップするのでしょうか?理由は荷重と摩擦力が比例してくれないからです。
解りやすく言うと荷重が1.3倍なら摩擦力も1.3倍になりますが、1.6倍なら1.5倍、2倍なら1.7倍のように、比例してあがってくれないのです。
そこでタイヤを太くして接地面を増やしてやると、2倍が1.9倍のようになってくれます。
故に太いタイヤのほうが荷重をかけたときのグリップ力の上限が高い=太いほうが食うということになります。

つまり荷重が少なければタイヤは太くても細くてもグリップ力は変わらず、荷重が多ければ太いタイヤのほうがグリップ力が高いと言うことになります。
では太ければいいのかというとそうでもなく、転がり抵抗や空気抵抗、重量増などのデメリットが強くなってしまいます。
なので適したサイズのタイヤ選択をしなければならないのです。




 

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